イギリス正規留学ーオープンデー
この時期、各学校でオープンデーが開かれています。オープンデーというのは、学校内を見学できる日のことで、その学校に入学を希望したり興味のあるたくさんの親子が訪れます。生徒が案内役になり、教室やスポーツ施設、体育館、図書館、食堂、寮などを見学できます。
学校内部を見学できる良い機会ですし、学校側も生徒獲得にアピール出来るので、こういった催しが1年に1~2回開かれます。
私が訪れたシニアスクールは、19世紀に創立された元女子校(最近共学になった)で、校舎は違いますが18ヶ月~18歳までが在校しています。エリザベス女王がパトロンとなっていて、プリンセスアンがプレジデントになっているので定期的に学校を訪問されるそうです。 森の中にすっぽり覆われた建物はとてもかわいらしく、どこか浮世離れした印象。
校長先生のお話のあと、2人の生徒の案内で学校内を見て回りました。 私立校の施設はどこも申し分なく、この学校も図書館、スポーツホール、サイエンスルーム、アートルーム、音楽室、ダイニングルーム、寮、などが少し狭い敷地内に点在していました。
この学校の特徴は、Year3(8歳)~Year11(15歳)までは男女別で授業が行われること。男女の能力が違うので、これはとても良いと思います。 元女子校なので女子が男子の1.5倍と多いのですが、今のところ女子2クラス、男子1クラスという編成です。あと5~6年で、男女比を1:1にしたいとか。
私の関心は留学生の入学に関してですが、担当の先生にお話をお伺いすることが出来ました。 外国人の入学はある程度の英語力があれば、かなりフレキシブルに受け入れているとのこと。英語と数学の試験と面接がありますが、自国でも受けられるそうです。パストラルケア(寮でのサポート)もしっかりしているし、EFL(外国人のための英語レッスン)もあります。
ちょっと気になったのが、見学をしていた時にアジア人(多分中国人)が結構いたこと。人数的には少ないけれど、グループになっていたので目立ったのかな。 “中国人生徒が結構いたような気がしたのですが・・・”と質問してみたところ、“確かに中国のエージェントが送り込んでくるけど、女子280人中35人なので人数的には多くないし、各学年で2~3人程度”というお答えでした。
実はこの学校の近くに友人の家があって帰りに立ち寄ったところ、たまたまこの学校に通っている日本人生徒の親子がそこに遊びに来ていたので、より詳しいお話を伺うことが出来ました。この日はオープンデーとともにプライスデーだったので、お母様が来英されていたのでした。
日本人生徒さんのお話によると、本コースの他に1年でGCSEをやる外国人用コースがあって、こちらに入るとほぼ全員中国人とのこと。中国人10人+日本人1人とかになってしまったそう。 生徒の英語のレベルにもよるけれど、英語のレベルが低いと先生に注意されても中国語がとびかうことになり、英語のレベルの高い中国人も嫌がっているとか。 こうなると、イギリスに留学しているのか中国に留学しているのかわかりませんね。
お母様曰く、“学校選択の際に日本人が多いか少ないかは気にしましたが、中国人が多いか少ないかなんて気にもしませんでした”。
実は最近はこういう中国人だらけの学校が多いのです。 準備校はもちろんのこと、イギリス人の行く学校でも中国人やロシア人留学生がやたらに多いというところはあります。
日本人も含め外国人がイギリスへ正規留学する場合、小学校(プレップ)から入ればいいのですが、中学卒業くらいから入ろうとすると、GCSEの2年目とかAレベルの始まりとかで、非常に区切りが悪く、普通はいれてもらえませんが、GCSE1年コースを設けたり、EFLを充実させたり、ある程度の英語力があれば学年を落として入学させたりして、積極的に留学生を受け入れている学校もあります。
私立校の学費があまりにも高すぎるのでイギリス人生徒は行けず、どこの私立校も生徒獲得に苦労しているはず。なので留学生が来てくれれば学校側もありがたいのですが、それがお金持ちの中国人やロシア人に偏ってしまっているのでしょう。
私立校でもトップ校といわれる学校は競争率5倍くらいの狭き門ですが、中堅レベルの学校は外国人をいれたり共学にしないと経営が成り立たないという、学校の2分化が進んでいるのでしょうね。
このシニアスクールは地元では評判の良い学校ですが、中国人の多さに嫌気がさしたイギリス人生徒が6thフォームから地元の評判の良い公立校に転校したりしているそうです(6thフォームの寮はほぼ中国人だそう)。
昔は本当に良家のイギリス人子女のみを教育するアットホームな女子校だったろうに・・と思うと、私の立ち場で言うのもへんですが “お気の毒に” ・・・という感情がわいてきますが、オープンになってくれたからこそ日本人留学生も受け入れてもらえていると思うと、ありがたくその恩恵を頂戴しておこうという気になり、でも中国人をもう少し制限してくれ~という都合の良いことも考えて、なんか複雑ですね。
これからは、“中国人の少ない学校” というのがキーワードになってくるかもしれません。